酒造り
淡々と美酒を醸す
米
酒は農家と酒蔵の共同作品
「酒は農家と酒蔵の共同作品」というポリシーに基づき、産地と品種がはっきりした米だけを玄米で仕入れ、自社の精米工場で丁寧に磨き上げています。現在、原料米の約80%が長野県産、20%が兵庫県産です。
- 美山錦
- 産地:長野県 上伊那地区 / 安曇野地区 / 大北地区
- 長野県を代表する酒米。長野県をはじめ東北地方など寒冷地で多く栽培されています。シャープな味わいの酒質が特徴。真澄では多くの場合、掛け米として使用されます。
- ひとごこち
- 産地:長野県 上伊那地区
- 美山錦同様に耐寒性があり、大粒で心白の発現も良い長野県産の酒米。真澄では多くの場合、麹米として使用しています。
- 山恵錦
- 産地:長野県
- 美山錦の後継として近年開発された長野県産の酒米。ふくよかさとキレの良さを合わせ持つ酒質が特徴です。
- 金紋錦
- 産地:長野県 木島平地区
- 長野県の一部地域に栽培が集中する希少な酒米。透明感と深いコクを合わせ持つ酒質が特徴です。
- 山田錦
- 産地:兵庫県 加東市 山国地区
- 酒米の王者と称される品種。真澄は長年交流を続ける兵庫県加東市山国地区の山田錦だけを使用しています。
- 愛山
- 産地:兵庫県 三木市 吉川地区
- 幻の酒米と呼ばれる兵庫県産米。果実を想わせる濃厚な味わいと香りを具えた酒質が特徴です。
水
信州の豊かな自然が生み出す天然水
仕込み水の性格は、酒自体の味わいを大きく左右する重要な要素。諏訪蔵、富士見蔵ともに信州の雄大な山々の地層でゆっくりと濾過された天然水を使用しています。
- 諏訪蔵:八ヶ岳山系 霧ヶ峰 伏流水
- 硬度:3.0-3.5
- 富士見蔵:南アルプス山系 伏流水
- 硬度:4.5
酵母
酒造りの主役
日本酒は体長5ミクロンの微生物「酵母」が糖分をアルコールに変えることで醸されます。しかし安定的に美酒を生み出す能力を持った優良酵母はごく少数で、酒造りが自然まかせに近かった明治時代までは失敗がつきものでした。
そこで1904年に設立された国税庁醸造試験所は、優良酵母を捜し出し酒蔵へ販売する事業を開始。この「醸造協会酵母」によって日本酒の品質は飛躍的に向上しました。
真澄が全国清酒鑑評会で上位を独占した1946年、醸造試験所長だった山田正一博士が、真澄 諏訪蔵のモロミから新品種の酵母を発見。「醸造協会酵母7号」と命名された真澄酵母はたちまち全国の酒蔵へ普及。発見から70年以上を経た今でも大半の酒蔵で活躍しています。
七号酵母への原点回帰
人々の食生活が大きく変った1980年代、濃厚で華やかな香りの日本酒がもてはやされ始めると、そうした酒を造り出すための酵母開発が進みました。
この時代でも真澄の酒造りの中心は七号酵母。いわゆる「香り系酵母」の使用は限定的でしたが、気がつくとその比率は徐々に高まっていました。
2019年、このままでは本来あるべき姿を見失うという危機感から、若手社員たちが酒蔵の中から再発見した七号系自社株酵母での酒造りへ回帰することを決断。「落ち着いた香りと調和のとれた味わい」を具えた上質な食中酒造りの姿勢を鮮明にしました。
人
和醸良酒
いかに原料米や製造設備にこだわっても、酒造りに情熱を注ぐ杜氏や蔵人無しに美酒は生まれません。真澄は代々名杜氏に恵まれてきましたが、微生物や醗酵に関する科学的知識を具えた社員蔵人と、自然や生き物を熟知した農家蔵人が協働する現在の体制こそ理想形だと考えています。
那須 賢二なす けんじなす けんじ
- 杜氏の仕事とは
- 人をまとめていい酒を造ること。目標とする品質の酒が出来るように各部署を指揮すること。皆で楽しく酒造りをするための環境づくりをすることだと思います。
- 1962年 生まれ
- 2004年 諏訪蔵杜氏 就任
- 2009年 「信州の名工」認定
- 2013年 総杜氏 就任
平林 和之ひらばやし かずゆきひらばやし かずゆき
- 杜氏の仕事とは
- 酒造りを全般的に分かっていて、目標とする酒質のお酒を造るためにいろいろな指示をすることが仕事だと思います。またそのための設備や作業環境などを整えることも重要な仕事です。
- 1962年 生まれ
- 2004年 富士見蔵杜氏 就任
- 2013年 諏訪蔵杜氏 就任
- 2018年 「信州の名工」認定
- 2020年 総杜氏 就任
- 2023年 顧問杜氏 就任
中野 淳なかの あつしなかの あつし
- 杜氏の仕事とは
- 蔵のスタッフが働きやすい環境を作ることです。前任の平林杜氏が出来た方なので、基本的には蔵人を信頼していますが、より良い方向に持っていけるようポイントを伝えていきたい。
- 1968年 生まれ
- 2013年 富士見蔵杜氏 就任
諏訪
真澄のふるさと
信州諏訪は八ヶ岳・蓼科・霧ケ峰の裾野に広がる高原盆地。
澄んだ空気と豊富な水、極寒の冬と涼風な夏、四季折々に表情を変える諏訪湖、こんこんと湧く温泉、縄文時代から続く歴史を物語る史跡や祭り、その全てが私たちの誇りです。
諏訪はまた、精密機器、酒・味噌・寒天といった伝統食品、良質な農産物で知られるモノづくり王国でもあります。
この王国を支えるのは技の高みを求める諏訪人気質。厳しい風土の中で育まれたこのDNAもまた真澄の味わいの源です。
酒蔵
諏訪蔵
創業の地であり七号酵母発祥の地。現在の建物は大正13年築造。古く質素な蔵ですが、品質日本一を目指した歴代の蔵人たちによって、壁板一枚に至るまで徹底的に磨き上げられています。仕込み水は霧ケ峰山系を源とする伏流水。
富士見蔵
1982年、諏訪郡富士見町の標高960mの地に建てられた富士見蔵。毎年のように建物や設備の更新を繰り返し、今や真澄の主力蔵となりました。しかし理想の酒蔵創りは道半ば。富士見蔵の進化はまだまだ続きます。仕込み水は南アルプス山系入笠山を源とする伏流水。